企業が、自治体が応援できる婚活とは
山田昌弘先生の進行のもと、
少子化ジャーナリストの白川桃子さんとともに、 専門家による建設的なディスカッションが展開されました。講師(敬称略):山田昌弘、白川桃子、石坂
近年の未婚化の理由
正社員として就職できない若者が増加し、妻子を養える収入を得られない男性が増えた。
日本はまだまだ専業主婦志向もある。一方、婚活の現場でも変化が起きていて、高所得や公務員などの安定した仕事に就いている女性が人気になってきている。
出会いの減少・恋愛へのあこがれ消失
終身雇用制も崩壊し、近年ではセクハラ・パワハラ問題などにも敏感になり、社内紹介や社内恋愛が減少した。
また、自分には魅力が無いと感じる人や、恋愛は面倒だと思う人の割合も多く「交際経験がない」という若者も増加している。
しかし「いつかは結婚したい」あるいは「いつかはするだろう」と思っている人の割合は多い。
ただ「どうしたら良いのかわからない」という現実から婚活サービスを利用する人が多くなってきている。
企業・自治体ができること
“女性がもっと働ける環境づくり”が重要。男性も育休を取れる時代だが、気休め程度の休みは意味がない。
ちなみにIBJでは、社員が自分のプライベートの時間を充実させるために「168社員」と言う制度を作った(残業をしない社員制度)。また、出会う相手のバックグラウンドが先に分かっている状況だと自然と前に進みやすいのでは?という考えから、会社ごと、職域ごとの合コンイベントを実施した。
会社の発展なくして社内恋愛も生まれない。正社員化、安定した経営状況を作るのも企業としては必要なこと。
企業ができることとして、例えば、
社内イベントを定期的に実施する。そのイベントは独身者に限らず全員参加の場を設ける。意識的に独身者席を用意するなど工夫は必要だが、企業内、企業間で出会いを提供する場を継続して創出する。というのはどうか?
社員の結婚活動のみならず、会社のコミュニティを見直すために必要なものでは?
自治体の活動に関しては、婚活イベントのポスターを、地味でもいいので「貼り続ける」=継続することが大事。
婚活に取り組む際に留意すべき点
セクハラ・パワハラに関して懸念の声は多いが、本人の感覚はそれぞれ。取引先の社長や自分の上司の子供に対する言動を基準とすれば、間違いはない。権力ある人が権力の無い人に対する態度もポイント。
愛知県の取組についてイベントの開催など、県の素晴らしい婚活支援は今後も是非継続的に続けて欲しい。また、婚活サポーターを育成・支援する機能をつくったり、民間の結婚相談所とタイアップしたりして、出会いの機会のみならず具体的な恋愛のサポートを継続的にやっていくことが成果を生む鍵になる。